以前、あるお母さんから『「言葉がでない、言葉が少ない」と他の場所で相談をした際に、「たくさん話しかけてあげてね!」とアドバイスを受けました。
私はたくさん話をしているつもりだったけど、足りなかったのでしょうか。
言葉を話さない子どもに何を話しかけたらいいのかがよく分からないです。』とご相談を受けたことがあります。
子どもの言葉が出ないことに対して専門家に、「たくさん話しかけてあげてください」と言われると、「自分の言葉のかけ方が少なかったのかな?どのように話しかけたらいいのか分からない」等と自信がなくなったり、悩むことがあるかと思います。
今回は、私達STが普段の療育活動の中で子ども達に言葉をかけるときに意識していることについて、少しお話をしていきたいと思います。
子どもが話していることを真似してみる、動きを真似してみる
例えば、子どもが「あーあー」「ぶーぶー」等、何か発している言葉があれば、大人もそれをそのまま真似してみます。
太鼓を叩いている時は、大人も真似して太鼓をたたいてみます。
このように、子どもの話していることや、動きを真似をすることで、人とのやり取りが楽しいということを感じてもらうことに繋がり、発語にも繋がっていきます。
子どもがしている行動や感じていると思われる感情を言葉にしてみる
例えば、子どもが無言でコップを差し出してきたとします。
大人は、その行動を見て、喉が乾いたのかな?お茶が飲みたいのかな?と推測することが出来ると思います。
そこで、大人も何も言わずにコップにお茶をそそぎ入れ「はい」と子どもに手渡し、子どもは何も言わずにコップを受け取りお茶を飲んだとします。
さて、このようなやり取りでは、言葉を使う機会は無くなってしまうと言っても過言ではありません。
それでは、コップを無言で差し出してきた子どもに対してどのような言葉をかければよいのでしょうか。
さっそく下記(例)のように声をかけてみました。
どうでしょうか?
お茶を飲むという日常の何気ない事でも、たくさんお話をすることが出来たと思います。
たとえ子どもが例にあげたように大人の言った言葉を真似しなくても無理に言わせることはせず、反応を見てみます。
ここで大切にしたのは、行動や感情を言語化するからといって、大人が子どもに対して矢継ぎ早に話すのではなく、コミュニケーションのキャッチボールが出来ていることが大事です。
また、言葉や動きの反応がない時は、何か頭の中で考えている可能性もあります。
このように、子どもの様子を見て少し待ってあげることも大切にしています。
子どもが話している量と出来るだけ同じ量で話し、言葉のやり取りは大人と子どもが交互になるようにする
例えば、子どもが自分の作った粘土のケーキを「ケーキ!」と言って大人に渡してきた時に、
大人が「ありがとう!〇〇ちゃんが作ってくれたの?上に乗ってるのはイチゴかな?美味しそうなイチゴのケーキだね。いただきま~す!もぐもぐ〇〇ちゃんが作ってくれたケーキは美味しいな~!」
と言ったとします。
楽しい会話をしているように感じますが、大人の話す量が多すぎて、子どもが話す場面が無くなってしまいます。
また、子どもが話している量よりも長すぎる文章は、その子どもは聞き取れていない可能性があります。
「ケーキ!」と、作ったケーキを子どもが差し出した時には下記(例)の様に声をかけてみます。
どうでしょうか?
先ほどの会話と比べて大人が子どもの話す量に合わせていくと、子どもが話す機会が増えていると思います。
このように、子どもと会話のキャッチボールが出来るようにし、子どもに言葉を使ったやり取りが楽しいなと感じてもらえるようにすることを意識しながら療育活動を行っています。
日々の生活の中で、子どもへの言葉のかけ方や関わり方等で悩むことがあると思います。
「なぜ?どうして?大丈夫かな?」等、子どもの発達に疑問や不安を感じたらいつでもお気軽に各事業所言語聴覚士までご相談ください。